経営者のための哲学:50代からのわびさびと内省

人生の進行と共に、わびさびの概念の真価を理解することの重要性が増しています。わびさびは、日本文化に特有の哲学であり、物事の本質的な美しさや哀愁を見出すことに重点を置きます。この概念を西洋文化においても詳細に探求したLeonard Korenの「Wabi-Sabi for Artists, Designers, Poets & Philosophers」は、わびさびが持つ普遍性と深さを示しています。

私は毎朝4時半に起床しますが、徐々に明るくなる空を眺める時間は、自己反省と自己啓発の貴重な瞬間となっています。このような内省は、俳句や和歌に見られるような、限られた言葉の中で無限の意味を見出す思考プロセスと通じており、経営における戦略的決断への道を開きます。心理学者ミハイ・チクセントミハイは「Flow: The Psychology of Optimal Experience」で、このような創造的な思考がいかに重要かを指摘しています。

また、「礼記」における50代の「艾(がい)」という概念は、経営戦略における無駄の削減と集中力の必要性を示唆しています。これは、ピーター・ドラッガーの「経営者の条件」で提唱される効果的な経営者の特性と合致しており、経営の世界における本質的な価値に焦点を当てることの重要性を強調しています。

イポリット・テーヌの言葉は、経験からの学びと成熟の重要性を示しています。特に20代の経験は重要ですが、年齢と共に、瞬間を大切にし、目の前のことに集中することの価値が高まります。こうした成熟は、ダニエル・ゴールマンが「Emotional Intelligence: Why It Can Matter More Than IQ」で論じる感情知能(EQ)の発展にも貢献します。座禅などを通じた内省は、EQの高いリーダーシップを発揮するために不可欠です。

このわびさびの概念は、ビジネスシナリオにも応用可能です。開発やマーケティング戦略において、シンプルで本質的なアプローチを採用することは、顧客に深い印象を与え、長期的な価値を生み出します。経営学、心理学、文化研究からの洞察は、現状の受け入れと改善、そして腰を据えた思考が、成功への鍵であることを示しています。(2021/1/7 小竹)