NNF連載|第13話 「書かれない知──形式知の限界を超えて」

前回は、成果を超えた評価軸として「幸福感」と「徳」を取り上げました。
それらは数値に残らないがゆえに、しばしば見過ごされがちです。
今回のテーマは、さらに一歩踏み込み、「書かれない知」について考えます。

言葉にできない知の存在
マニュアルや指示書は有効ですが、それだけでは組織の知のすべてを扱うことはできません。
飲食の場で思い浮かべてみてください。
・お客様が注文をためらった一瞬に差し込む言葉
・退店時に自然と起こる目礼のタイミング
・厨房で交わされる短い視線の合図
これらは決してマニュアルに書き込めるものではありませんが、確かに「知」として存在しています。

「間」に宿る知
日本文化においては「間(ま)」が重要視されます。
接客における間合い、調理の手順の呼吸、沈黙の空気。
そこにあるのは、数値にも文章にも還元できない「書かれない知」です。
この知は形式知の外側に位置しながらも、実践においては不可欠な意味を持ちます。

NODE NAVISの挑戦
NODE NAVISは、書かれない知を直接記録することはできません。
しかし、その痕跡を「ふるまいの記述」として残すことは可能です。
たとえば、
・「客席が静まったときは声を落として話す」
・「調理の合図は手首の動きで伝える」
こうした記述が繰り返し接続されていくと、その背後にある「書かれない知」が立ち上がってきます。

形式知の限界を超える
重要なのは、NODE NAVISが「マニュアルの延長」ではなく、「マニュアルでは拾えない知を照らす装置」であることです。
書かれない知が意識化され、意味づけされることで、文化の中にしなやかに織り込まれていく。
それは、組織が未来へ知を継承するための不可欠なプロセスです。

次への橋渡し
書かれない知をどうやって後世に残すか。
その答えは「教育は環境である」という視点にあります。
次回は、NODE NAVISが描く教育の姿について考えていきます。

【読者への問いかけ】
あなたの組織には、言葉にならないけれど確かに伝わっている「書かれない知」はありますか?
それを意識的に受け渡す仕組みは整っていますか?(2025/9/17 小竹)