第2回 解説編 効用とコストのバランス──セット販売が強い理由をやさしく解く

著者:小竹竜也
掲載日:2026-02-08

序論

第2回本論では「効用最大化とコスト最小化の均衡モデル」と題し、数式を使ってセット販売の最適な仕組みを説明しました。 ここでは、その数式を「日常の言葉」に置き換え、実務でどう役立つかを解説します。

1. 顧客が求めるもの(効用最大化)

お客様は「満足を最大化したい」と考えています。 セット販売が提供するのは次の3つです。

  • ✓ 組み合わせの安心感(主菜+副菜+飲み物が揃う)
  • ✓ 迷わない決めやすさ(短時間で選べる)
  • ✓ 納得できる価格(単品合計より分かりやすいお得感)

つまり、お客様にとって「値段以上に満足できる体験」が効用の最大化につながります。

2. 店舗が目指すもの(コスト最小化)

一方、店舗にとって大事なのは「同じ人員で効率よく回すこと」です。 セット販売は調理や提供が標準化されるため、作業のバラつきが減り、ピーク時でもスムーズにお客様をさばけます。 結果として、労働時間あたりの売上(人時売上高)が高まり、コストを抑えつつ売上を伸ばせます。

3. 効用とコストの均衡とは?

お客様にとって「安くて便利」が行き過ぎると店の利益が出ません。 逆に「効率だけ」を追いすぎるとお客様満足が下がります。 そこで必要なのが「バランス=均衡」です。

セットの価格、構成、標準化への投資を同時に考え、お客様が満足し、店舗も利益を確保できるポイントを探ることが戦略の核心です。

4. 実務へのヒント

  • ✓ 価格設定は「安売り」ではなく「納得感」を重視する
  • ✓ セットの構成は「相性」と「決めやすさ」を優先する
  • ✓ 調理・提供の流れを標準化し、待ち時間を安定させる
  • ✓ 教育でスタッフの提案力を高めると、顧客効用がさらに上がる

結論

第2回のテーマ「効用最大化とコスト最小化の均衡」は、難しい数式に見えても要は「お客様満足と店舗効率の両立点を探ること」です。 セット販売は、この均衡を実現する強力な仕組みです。 次回は「価格設計とアンカー効果」を取り上げ、心理学的な要素を数理モデルと結びつけて考えていきます。