第3回 実践知共有のための場づくり──思想の贈与が息づく共同空間
「思想の贈与論──文化資本と知の公共性」 COMMONS編
著者:小竹竜也
連載開始:2025年9月7日
本書 COMMONS編 第3回(掲載日:2026年1月4日)
思想は制度に保存されるだけでは生きない。店舗で培われる実践知が共有される場において、思想は呼吸し、未来へとつながる。
要旨
本稿は、思想の贈与論において「実践知共有の場」が果たす役割を検討する。制度は形式知を保存できるが、暗黙知や実践知は人々の関係の中で共有されなければ持続しない。場は単なる物理的空間ではなく、思想の贈与を媒介する関係的構造である。店舗における日常的な学びや、組織横断の対話の場を通じて、実践知はコモンズとして循環する。本稿では、そのための設計原理を提示する。
キーワード
実践知、思想の贈与、共有の場、コモンズ、関係性、店舗、対話、循環
1. 序論:実践知の脆弱性
制度が形式知を保存できる一方で、実践知は個人に属したまま失われやすい。暗黙知は文書化できず、場を通じた共有が不可欠である。
2. 場の役割
野中郁次郎のSECIモデルにおける「場」の概念が示すように、知の生成と共有は場に依存する。店舗での日常のやり取りや、組織横断のワークショップは、思想を実践知として循環させる重要な媒介となる。
3. 店舗を越える共有空間
実践知は店舗内に閉じるのではなく、店舗間・組織間での共有の場が必要である。場を通じて思想は社会的に拡張され、文化資本として蓄積される。
4. 実践知共有の場づくりの暫定命題
命題1:実践知は、場における共有を通じてコモンズ化し、持続可能な思想資源となる。
命題2:場の設計は、思想の贈与を媒介する関係的構造として機能する。
5. 結論:思想が呼吸する場へ
実践知共有の場を設計することは、思想を保存するだけでなく、呼吸させ、循環させる営みである。思想は制度に支えられつつ、場において他者と交わることで未来に継承される。
関連ノード
- COMMONS:C4(知の公共性とデジタル時代の課題)
- THEORY:T6(知の循環と社会的実装)
- APPLIED:A2(教育制度と知の継承設計)
参考文献(抜粋)
- Nonaka, I., & Konno, N. (1998). The Concept of “Ba”: Building a Foundation for Knowledge Creation. California Management Review.
- Polanyi, M. (1966). The Tacit Dimension.
- 小竹竜也(2025-)「思想の贈与論」連載各回



