第4回 顧客体験設計と思想の接続──サービスを超えた贈与の場
「思想の贈与論──文化資本と知の公共性」 APPLIED編
著者:小竹竜也
連載開始:2025年9月7日
本書 APPLIED編 第4回(掲載日:2025年11月23日)
顧客体験は商品の提供では終わらない。店舗でのふるまいを通じて、思想を贈与し合う場へと昇華する。
要旨
本稿は、思想の贈与論を顧客体験設計に応用する試みである。従来、顧客体験はサービスの質や利便性として語られてきた。しかし思想の贈与論に立脚すると、顧客体験は「思想が店舗を通じて顧客に贈与される場」として再定義できる。顧客は商品を購入するだけでなく、店舗の思想や価値観を体験し、それを受け取ることで文化資本を共有する。本稿では、顧客体験を思想の循環に組み込むための視点を提示する。
キーワード
顧客体験、思想の贈与、店舗、サービス、文化資本、循環、価値設計、体験経済
1. 序論:顧客体験の再定義
顧客体験は「便利さ」や「満足度」だけで測られるものではない。顧客は店舗で思想に触れ、文化資本の一部を受け取る。その意味で、顧客体験は思想の贈与の延長線上にある。
2. 店舗における顧客体験の特徴
店舗での接客・料理・空間設計は、思想を形にしたものである。顧客が感じる安心感や期待以上の体験は、店舗の文化や思想が贈与された結果である。
3. 思想の贈与としての顧客体験
顧客体験は「思想の交換の場」として理解できる。
- ✓ 商品やサービスを通じた価値提供
- ✓ 店舗の文化や理念を伝える態度・ふるまい
- ✓ 顧客からの反応や評価が返礼となり、循環を生む
このやりとりは、単なる消費行動を超えて、思想の循環を具体化する。
4. 顧客体験設計の暫定命題
命題1:顧客体験は、思想の贈与を顧客と共有する制度的・文化的営みである。
命題2:店舗における顧客体験は、商品提供を超えて文化資本の循環を生み出す。
5. 結論:思想を体験化する経営へ
顧客体験を思想の贈与の視点で設計することは、単なるサービス向上ではなく、組織文化を社会に広げる営みである。店舗は顧客と思想を共有する場となり、未来へ思想を継承する場となる。
関連ノード
- APPLIED:A5(組織文化と思想の体現)
- THEORY:T2(文化資本としての思想)
- COMMONS:C1(公開宣言)
参考文献(抜粋)
- Pine, B. J., & Gilmore, J. H. (1999). The Experience Economy. Harvard Business School Press.
- Bourdieu, P. (1979). La Distinction.
- 小竹竜也(2025-)「思想の贈与論」連載各回



