第6回 補遺 セット販売と顧客ロイヤルティの厳密な検証
著者:小竹竜也
掲載日:2026-03-08
1. CLVモデルの単純化
本論ではCLVを「利潤の割引現在価値」として提示しましたが、実際の外食産業では顧客行動は不確実性を含みます。 来店確率は単純なロジット関数だけではなく、季節性、競合、個人の嗜好変化などに左右されます。 したがって、本論のモデルは概念枠組みとして有効ですが、実務で用いるには補正が必要です。
2. 体験の累積効果の限界
「良い体験の蓄積が効用を増やす」という前提は合理的ですが、実際には「飽き」や「マンネリ」も生じます。 同じセットを繰り返すことで、むしろ効用が逓減する可能性があります。 この場合、メニューの変化や季節限定商品の投入が必要となります。
3. CLVとコストの両立
CLVを高めるためには安定的な体験を提供することが重要ですが、過剰な投資は利潤を圧迫します。 したがって「どこまで投資すべきか」を最適化する必要があります。 ここで第5回の均衡モデルとの接続が生まれます。
4. 今後の課題
- ✓ 顧客のリピート率と離脱率を同時に組み込んだ動学モデルの構築
- ✓ 「飽き」による効用逓減をどう防ぐかのメニュー戦略
- ✓ 実際の顧客データを用いたCLV推定と検証
結論
第6回では、セット販売が顧客ロイヤルティを高める仕組みを提示しました。 ただし、実際の店舗運営に適用するためには「飽き」「コスト最適化」といった現実要素を組み込む必要があります。 この検証編は、次回の「教育・推奨トーク」との接続に向けた理論的基盤を整えるものです。



