抽象的概念化(Abstract Conceptualization)とは何か?
抽象的概念化の意義と重要性
抽象的概念化は、デイヴィッド・コルブの経験学習モデルの第三段階であり、反省的観察の結果を基に、新しい概念や理論を形成するプロセスです。この段階では、学習者は具体的な経験と反省から得た知見を抽象化し、理論的な理解を深めます。つまり、実際の経験を一般化し、他の状況にも応用できるような抽象的な原則や概念を構築します。
なぜ抽象的概念化が重要なのか?
抽象的概念化は、学習を深め、経験から得た知識を他の状況にも応用するために不可欠です。この段階で、学習者は具体的な経験を基に理論を構築し、一般的な理解を得ることができます。これにより、学習者は異なる状況でも適用可能な知識やスキルを身につけることができます。
例えば、飲食店での経験から得た教訓を抽象化することで、他の業務や異なる状況でも応用できる普遍的な原則を見つけ出すことができます。具体的な接客の経験から、優れた顧客対応の基本原則を抽出し、それを他のスタッフ教育に役立てることができます。
抽象的概念化を活用する方法
抽象的概念化を効果的に活用するためには、以下のポイントが重要です。
1. 理論的なフレームワークを活用する
具体的な経験を抽象化する際には、理論的なフレームワークを活用することが有益です。例えば、接客業務における優れた対応を説明するために、コミュニケーション理論やサービス品質理論を参照することができます。これにより、経験をより体系的に理解し、他の状況にも応用しやすくなります。
2. 経験を一般化する
具体的な経験から得た知見を一般化し、普遍的な原則を見つけ出すことが重要です。例えば、特定のクレーム対応の経験から、「顧客の感情に寄り添うことが重要」という一般的な原則を導き出すことができます。このように、具体的な事例から抽象的な教訓を引き出すことで、他の状況でも活用可能な知識を得ることができます。
3. ディスカッションとコラボレーションを促進する
学習者同士のディスカッションやコラボレーションを通じて、異なる視点や意見を取り入れることが、抽象的概念化を深める助けとなります。例えば、チームミーティングやワークショップを通じて、各自の経験を共有し、それを基に新しい概念や理論を構築することが有効です。
抽象的概念化の実例:飲食店における応用
クレーム対応の抽象化
あるスタッフが特定のクレームに対して効果的な対応を行った場合、その経験を抽象化して一般的な原則を見つけ出します。例えば、「顧客の不満を真摯に受け止め、迅速に対応することが重要」という原則を導き出し、それを他のスタッフのトレーニングプログラムに組み込むことができます。
新しいメニュー導入の抽象化
新しいメニューを導入した際の成功体験や失敗体験を抽象化し、メニュー開発の一般的なガイドラインを作成します。例えば、「顧客のフィードバックを積極的に取り入れることが、新メニューの成功につながる」という原則を導き出し、今後のメニュー開発に活用します。
結論
抽象的概念化は、経験学習の重要なステップであり、具体的な経験と反省的観察から得た知見を普遍的な原則や理論に昇華させるプロセスです。理論的なフレームワークを活用し、経験を一般化し、ディスカッションやコラボレーションを通じて抽象的概念化を深めることで、学習者は異なる状況でも応用可能な知識やスキルを身につけることができます。
次回の記事では、コルブの経験学習モデルの第四段階である「能動的実験」について詳しく解説します。抽象的概念化で得た知識や理論を実際に試し、さらに学びを深めるプロセスを探っていきます。(2024/7/28 小竹)



