『SELF HELP』:イギリスの底力、日本の学び

サミュエル・スマイルズの「SELF HELP」は、日本では「昌平黌始まって以来の天才」と称された中村敬宇がイギリスから持ち帰り、「西国立志編」として訳書を出版し、国内に紹介されました。その後、渡部昇一先生によって「自助論」として取り上げられ、本国イギリスでは忘れられてしまったこの名著は、日本で長らく愛読されています。当時、この本は聖書に次いで読まれるほどの人気であり、リーダーや指導者たちは、プルタークの「英雄伝」と同じくらいにこの本を読んでいたと考えられます。私は、イギリスの底力とはこの「SELF HELP」の文化であると感じています。これは現在の日本においても、仕事を進めていく上で非常に重要であると思います。その冒頭に「けだし国は、人衆あい合うの称なり。故に人々の品行正しければ、即ち風俗美なり。風俗美なれば、すなわち一国協和し、合して一体を成す。強何ぞ言うに足らん。もし国人の品行いまだ正しからず、風俗いまだ美ならず、しこうしていたずらに汲々として兵事をこれ講ぜんや」と記述されています。この文章が目に飛び込んできた瞬間、私は深い衝撃を受けました。感動だけではなく、これによって新たな学びや気づきを得ることができたのです。(2023/12/17 小竹)