評価よりも、信頼を育てるお店でありたい
──ムーディーズの格下げに学ぶ、飲食店の本質
先日、世界的な格付け機関「ムーディーズ」が、アメリカの国債の信用格付けを最上位の「AAA」から一段階下げ、「Aa1」に引き下げたというニュースがありました。これによって、アメリカはすべての主要格付け機関から“完璧な信用”という評価を失ったことになります。
しかし、経済的な実力や制度の強さを考えれば、アメリカの信用は依然として揺るがないとも言えます。むしろ、こうした評価の下落が「形式的な数字」に過ぎず、実態とはずれているという見方もあるのです。
この話は、一見すると私たちの日常とは遠い話に思えますが、実は飲食店を営む私たちにとっても、大きなヒントを与えてくれる出来事です。
たとえば、飲食店の評価も、点数やレビューといった「数字」で判断されることが多くなりました。Googleの星の数、SNSの口コミ、アンケートの満足度──それらは確かに大切ですが、お客様の本当の信頼や満足は、数字では測れない部分にあるのではないでしょうか。
忙しい時間帯にお待たせしてしまったことや、スタッフが少ない日があったことで、一時的に評価が下がることもあります。それでも、「また来たい」と思ってくださるお客様がいる。その理由は、料理のおいしさだけではなく、そのお店で過ごした時間や、スタッフとのちょっとしたやりとりにあるのではないかと私たちは考えています。
評価とは、あくまで“ひとつの見え方”です。ですが、お客様との信頼関係は、長い時間をかけて少しずつ築いていくものです。そしてその信頼こそが、私たちが本当に大切にしたいものです。
今回のムーディーズの格下げをきっかけに、「数字に振り回されずに、本当に大切なものを見つめ直す」ということの意味を、あらためて考えさせられました。
私たちはこれからも、評価よりも「信頼を育てる店」でありたいと思っています。どんな時でも、皆さまにとって「また来たくなる場所」であるよう、心を込めて営業してまいります。(2025/5/18 小竹)