役割を全うする
飲食業におけるメニュー開発を考えてみましょう。それは単なるレシピ作成にとどまりません。調理には包丁が必要であり、その包丁を作る刃物職人がいます。料理を盛り付ける皿を作る陶芸家や、食材を提供する農家、調味料を製造する人々もまた欠かせません。このように、多様な専門家の連携によって一つの料理が生まれるのです。
この中で重要なのは、「自分がやりたいこと」ではなく、「組織や社会が自分に求めていること」に集中することです。飲食店では、調理担当が料理の品質を高め、接客担当が顧客満足を追求します。それぞれが自分に与えられた役割を全うすることで、全体がスムーズに機能し、より大きな成果が生まれます。
孫子の「虚実」が説くように、すべてを広く手がけるのではなく、力を注ぐべき部分を見極めることが成功の鍵です。現代の仕事でも、与えられた役割に集中し、それを磨き上げることが求められています。
仕事とは、効率を追求するだけではなく、自分に期待される役割を果たし、他者と協力して成果を生む営みです。この「役割を全うする」姿勢こそが、組織や社会の中で価値を生み出し、私たちを成長させるのです。(2025/1/27 小竹)