『NODE NAVIS for Food Business』

プロローグ ──「マニュアルでは届かないもの」のために

飲食の仕事とは、どこまでを言うのだろうか。
料理をつくることか。お客様をもてなすことか。スタッフを育てることか。あるいは、売上を上げ、利益を出し、効率を高めることか。
そのすべてに「正解」があるように見えて、実のところ、どこにも明確な解はない。

一杯の水を出すタイミングに、レシピはあるだろうか。
席を立ったお客様に、どんな言葉をかけるべきか。
同僚が疲れているように見えたとき、どうふるまうのが「正しい」のか。

そうした問いの多くは、マニュアルでは教えてくれない。
そして私たちは、まさにそのような「場面」によって、この仕事の本質と向き合っている。

NODE NAVIS(ノード・ナビス)は、こうした“マニュアルでは届かないもの”のために生まれた羅針盤である。
それは単なる業務の手引きではなく、知とふるまいの構造を再設計し、関係のなかで働くという営みそのものに意味を与え直す思想的実践である。

この連載では、NODE NAVISという新しい概念を、16章にわたって丁寧に紐解いていく。
扱うのは、接客や教育、組織運営だけではない。
「問い」「徳」「幸福」「文化」といった、ビジネスの裏側に静かに流れる価値の水脈にまで、光を当てていく。

いま、私たちはもう一度問い直さなければならない。
「なぜ、この仕事をするのか」
「何が、私たちを動かしているのか」
「“よいふるまい”とは、何なのか」

NODE NAVISは、答えを教える装置ではない。
それは問いの力を信じ、ふるまいを編み直し、文化を耕していくための知の地図である。
この連載が、あなた自身の仕事の意味をあらためて見つめ直すきっかけとなれば幸いである。(2025/6/22 小竹)